ピロリ菌

ピロリ菌とは【胃がん予防】

ピロリ菌ピロリ菌は正式名称を”ヘリコバクターピロリ”といって、強い胃酸の中でも生きていける細菌です。大きさは0.5×2.5~4.0μmであり、数本のべん毛で胃の中を移動します。「ヘリコ」は「らせん」や「旋回」という意味で、べん毛を回しながら移動することからその名が付きました。
ピロリ菌は、胃の壁を傷つけて胃を守っている粘膜を減らします。そのことから、強い胃酸で粘膜が悪影響を受け、胃炎や消化性潰瘍を発症させる要因になってしまいます。また、ピロリ菌は胃壁に取りつくと毒素を出して細胞を攻撃します。すると菌を攻撃するために白血球が集まってきます。ピロリ菌と白血球の戦いが進んでいくと、胃粘膜が消耗し、炎症や消化性潰瘍起こしやすくなります。ひいては、胃粘膜の不可逆的な萎縮(=老化)が進行して、胃がん発癌につながると考えられています。
そのため、ピロリ菌をより早期に除菌する事こそが【胃がん予防】であると考えられております。

ピロリ菌と病気の関係

ピロリ菌が関係する代表的な疾患をご紹介します。

慢性胃炎

ピロリ菌は胃の中でウレアーゼという酵素を作ります。これが胃の中で反応してアンモニアなどを発生させます。これによって胃の粘膜が直接傷つき、また免疫反応によって胃の粘膜に炎症が起きることがあり、それが慢性胃炎の状態です。慢性胃炎の状態が長く続くと、胃の粘膜が薄くなってきます。この萎縮が進んだ状態が「萎縮性胃炎」です。萎縮性胃炎は徐々に胃の広い範囲に広がっていき、胃液の分泌が悪くなるだけでなく、胃がんになりやすい胃内環境を作ってしまうとされています。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の壁が大きく傷ついた状態です。薬剤が原因で起こる場合もありますがそれはまれで、ほとんどがピロリ菌の感染に関係しているとされています。腹痛や胃もたれなどの症状が代表的なものですが、出血や穿孔を起こして緊急に入院と手術が必要になることもあります。
胃酸の分泌を抑える薬などで治療を行うことで、ほとんどは症状が治まりますが、ピロリ菌に感染している状態で薬をやめると再発しやすくなっています。再発を予防するためには、ピロリ菌の除菌治療が有効です。

胃がん

ピロリ菌と胃がんには密接な関係があるとされており、WHO(世界保健機関)はピロリ菌を「確実な発がん因子」と1994年に認定しています。これは、確実な発がん物質として、煙草やアスベストと同じ分類に入ったということです。ピロリ菌の感染が長期間持続すると、胃の粘膜が薄くやせてしまう「萎縮」が進行し、これが胃がんを引き起こしやすい状態をつくり出すとされています。

それ以外の病気

この他、ピロリ菌が関係するとされている病気には、胃の粘膜にあるリンパ組織に発生する腫瘍の胃MALTリンパ腫、血液疾患の特発性血小板減少性紫斑病、胃の過形成性ポリープなどがあります。他にも、慢性じんましんや鉄欠乏性貧血などがピロリ菌の除菌によって改善することが報告されています。

ピロリ菌の感染について

ピロリ菌は、上下水道が整備されていないような地域や国では感染率が高く、衛生環境と相関すると指摘されています。先進国の中では日本は際立って高い感染率であり、60代以上の日本人の60%以上がピロリ菌に感染しているといわれています。衛生状態が改善された今日、若い世代の感染率は急速に低下していますが、経口感染が主な経路と考えられているため注意が必要です。ただし、感染していても消化性潰瘍が発症しないこともよくあります。

 

 

 

 

検査方法

ピロリ菌に感染しているかを調べるためには、「血液」「吐く息」「便」「尿」「胃の中の組織」などを検査します。ピロリ菌除菌は保険診療で受けることができますが、そのためには内視鏡検査を受けて、ピロリ胃炎があり、胃がんをはじめとする緊急度の高い他の病状がないことを確認する必要があります。

内視鏡を使わない方法

  • 抗体測定法
  • 尿素呼気試験
  • 便中抗原測定法

内視鏡を使う方法

  • 迅速ウレアーゼ法
  • 組織検鏡法
  • 培養法

内視鏡で胃粘膜の一部の組織を取って行う検査です。

ピロリ菌は様々な病気の原因となりますので、早期検査が重要であり、感染が確認できたらすぐに除菌治療を受けることが大切です。ピロリ菌は感染しますので、早めに治療を受けることで次世代に感染を伝えないようにブロックできます。

ピロリ菌の除菌について

当院では、日本ヘリコバクター学会認定医によるピロリ菌の検査や除菌治療を行っています。

※除菌の保険適用について
平成25年2月から萎縮性胃炎に対するピロリ菌の除菌が保険適用になっています。ただし、厚生労働省からの通達があり、内視鏡検査を行ってピロリ胃炎が確認されること、そしてその後上記の検査から1~2種類の方法を用いて感染が確認されることが条件になっています。

ピロリ菌の除菌方法

ピロリ菌が発見された場合の除菌治療についてご紹介します。

一次除菌(保険診療)

2種類の抗生剤と胃酸を抑える薬を使います。服用は1日2回、7日間です。約90%が除菌に成功します。

二次除菌(保険診療)

一次除菌後もピロリ菌の感染が確認された場合、一次除菌で使った2種類の抗生剤のうち1種類を変更して治療を行います。服用は同じく、1日2回、7日間です。一次除菌に失敗した方の90%が、ここで除菌に成功します。

三次除菌(※保険外診療)

ピロリ菌除菌を一次除菌、二次除菌でもうまくいかないケースは、全体の1~3%です。二次除菌にも失敗した場合、自費になりますが三次除菌も可能です。三次除菌ではじめて成功するケースもよくありますので、あきらめずに治療することが重要です。当院では除菌率の高い方法を採用することで三次除菌の成功率を高めています。他院でうまくいかなかった方もお気軽にご相談ください。